研究概要 |
今年はRNAi(RNAinterference)の技術ならびに実験操作の確立をおこなった。ラットから分離した歯髄細胞を培養し、以下の遺伝子に対するRNAiの導入を行った。 使用した遺伝子:β-actin,msx-1,lef-1のそれぞれのsiRNA(short interfering RNA)を作製し、TransT-TKO siRNA導入試薬を用いて遺伝子導入を行った。 方法:培養した歯髄細胞にsiRNAを導入し、その後48時間培養して、各遺伝子のノックダウン効果をreal time PCRを用いて確認した。その後さらに、培養し最終的には20日間の培養を行った。培養後、象牙芽細胞への分化への影響を調べるために、DSPPの遺伝子発現を指標にしてreal time PCRにて調べた。 結果と考察:siRNA導入後、48時間後には各遺伝子発現が抑制されていることが確認された。さらに、興味あることにmsx-1とlef-1をノックダウンした培養細胞では培養20日目の時点で象牙芽細胞の分化マーカーであるDSPPの発現が著しく抑制された。これらの結果から、lef-1とmsx-1は共に象牙芽細胞の分化に重要な役割を果していることが分かった。さらに、その影響は培養基間中の初期段階である48時間に象牙芽細胞の分化が決定されることが示唆された。今後さらに、mex-1とlef-1の下流にある分化を調節する因子を探す予定である。
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