研究概要 |
歯髄による効果的な硬組織形成を促進することによって、歯科臨床における新しい歯髄保存療法の開発を大きな目的として、歯髄の硬組織形成能の分化のメカニズムを解明しようとするものである。歯髄培養細胞に半導体レーザー照射することによって、歯髄培養細胞のBMP,Smadの動態を観察した。 50%コンフエント歯髄培養細胞(硬組織形成促進培地)に半導体レーザー(Osada light-surge 3000,長田電機工業社製:波長810nm)1W. 500sec(7.643J/cm^2)で照射し、RT-PCR法でsmad1,6,7,BMP-2,4,ALPの遺伝子発現、ELISA法でBMP-2,4のタンパク質産生、ALP活性、アリザリンレッドS染色による石灰化物産生を観察した。その結果を次に示す。 1.レーザー照射30日後、石化物産生ではレーザー照射群はコントロール群(非照射群)に比較して有意に上昇した。 2.レーザー照射後の遺伝子発現の観察において、3時間後ではSmad1とSmad7が、6,12時間後ではBMP-2,4が、6日後ではALPがコントロールと比較してmRNA発現が増大した。一方、3時間後においてSmad6のmRNA発現は減少した。 3.レーザー照射後、48時間後においてBMP-2産生量が、72時間後においてBMP-4産生量がコントロールと比較して上昇した。 4.レーザー照射後、12日後においてALPの活性はコントロールと比較して有意に上昇した。 以上の結果から半導体レーザー照射(波長810nm)によって、BMP-2およびBMP-4の遺伝子発現、産生量が増大しその結果石灰化物産生が促進された。BMPがレセプタに結合することによって、特異型smad1,7の発現増強および、抑制型smad6の発現抑制によって硬組織形成能促進されたと示唆された。
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