研究概要 |
歯髄の硬組織形成と炎症には密接な関わりがあるとも考えられている。抑制型Smadは炎症性サイトカインの転写因子であるNF-KBによって発現調節されており、炎症と硬組織形成にかかわりがあると考える。 1.TNF-αを作用させるとBMP-2 mRNA量の増加が明確に認め、ALP活性の亢進は認められなかった。 2.NF-κBの阻害剤であるPDTCとTNF-αを共に作用させるとTNF-αを単独で作用させた群と比較して有意にALP活性の亢進が認められた。 3.またRT-PCR法およびwestern blot法の結果において、PDTCとTNF-αを共に作用させることにより、TNF-αを単独で刺激したものと比較してsmad 7 mRNA量およびタンパク質量の低下が認められた。 これらの結果から、BMPのシグナル伝達は炎症性サイトカインのNF-κBを介して発現される抑制型Smadによって調節されているものと推測される。 続いて、半導体レーザー照射(波長810nm)によってBMP, Smadの動態を観察した。 1.レーザー照射30日後、石化物産生ではレーザー照射群は有意に上昇した。 2.レーザー照射後の遺伝子発現の観察において、3時間後ではSmad1とSmad7の、6,12時間後ではBMP-2,4の、6日後ではALPのmRNA発現が増大した。 3.レーザー照射後、48時間後においてBMP-2産生量が、72時間後においてBMP-4産生量が上昇した。 4.レーザー照射後、12日後においてALPの活性は有意に上昇した。 以上の結果から半導体レーザー照射によって、BMP-2およびBMP-4の遺伝子発現、産生量が上昇し、BMPがレセプタに結合することによって、特異型smad1,7の発現増強および、抑制型smad6の発現抑制によって硬組織形成能促進されたと示唆された。
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