研究概要 |
歯の萌出間もない歯根の形成過程にある幼若永久歯歯髄に治療時に生ずる器械的損傷・炎症や人工的感染を起こし、根尖歯髄、根尖歯周組織やヘルトウィッヒ上皮鞘などの変化と再生機構を実験病理組織学的に解明するのが本研究の目的である。 実験動物のカニクイザルを購入して行う当初の計画実施が外来生物法に抵触したため困難となり、サルの選定と搬入するのに予想外の日数(約7か月)を要した。そのため平成18年5/24から動物舎の環境への馴化を開始することとなった。動物は3〜4歳のカニクイザル(young adult,雄4頭,雌1頭)で永久歯が萌出しはじめた歯根未完成歯の721|127と721|127の60歯を対象としたが、ラバーダム防湿の困難な歯は除外した。これらの歯を用いて感染根管群と非感染根管群を作り、実験を行った。被験歯の歯根形成段階は1/2〜2/3程度とし歯科用X線写真で確認した。歯髄の切断は根尖2mmほどの手前としてアペキシフィケーションとアペキソゲネーシス後のヘルトウィッヒ上皮鞘や残遺歯髄と歯根の形成状況との関連性を病理組織学的に7〜90日の実験期間において観察した。現在本実験を続行中であるが、幼若永久歯の歯髄とヘルトウィッヒ上皮鞘を含む根尖歯周組織の創傷治癒機転を明らかにする予定である。 なお、病理組織学的観察は動物は麻酔薬剤を用いて安楽死させ、Karnovsky液の漕流固定を行い、光顕では迅速脱灰、パラフィン切片(厚さ7μm)としてH・E染色、グラム染色などを施す。一部試料は透過電顕観察によりヘルトウィッヒ上皮鞘や根尖付近残遺歯髄の細胞微細構造変化を調べる。
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