研究課題
基盤研究(C)
歯根未完成歯の幼若永久歯無髄歯に起こるアペキシフィケーションによる根尖閉鎖機転については一致した見解はなく推測の域をでない。そこで、歯髄、根尖歯周組織、ヘルトウィッヒ上皮鞘などが歯髄損傷、唾液感染や壊死に伴う実験的根尖病変をカニクイザルで作り、光顕とマイクロCT観察を行った。さらに、未萌出の歯根の形成段階の第三大臼歯や萌出途上の犬歯でそのヘルトウィッヒ上皮鞘の伸長形態を光顕で調べた。次にFR-Caを用いる感染根管の一回治療法によるアペキシフィケーション効果について填塞1〜2か月後の病理組織学的成績を調べた。その結果、以下のような成績を得た。1.歯根形成に伴うヘルトウィッヒ上皮鞘の組織切片観察から、歯根形成の1/2段階ではヘルトウィッヒ上皮鞘は短く水平方向に根管内方に向かうが、2/3段階では歯根の外形に沿って根尖の下方に向かった。2.アペキシフィケーションによる根尖閉鎖機転において、ヘルトウィッヒ上皮鞘の残存、象牙質形成と関係する象牙芽細胞の存在、生理的歯根形成の持続、骨様象牙質の形成、象牙芽細胞の分化はみられなかった。ヘルトウィッヒ上皮鞘は歯根未完成歯の根尖部の硬組織誘導や根尖の成長・閉鎖を起こすアペキシフィケーションに関して機能的役割を演じていないように思われた。3.一般にアペキシフィケーションは6〜12か月の間に起こるとされるが、FR-Caを用いた本実験の組織学的検索からは術後1〜2か月後にすでに菲薄な石灰化障壁がみられた。周辺には骨稜形成も顕著であった。以上を総括すると、歯髄内に加わる器械的損傷に加えて、根管開放による唾液感染が長時間続いており、歯髄に炎症反応が長く停滞することとなった。そのため歯根未完成の根尖部根管内には組織修復反応を誘発し、骨形成反応をも惹起した可能性も十分考えられる。残された広い根管腔は歯髄腔とは生体側で認知せずに歯根膜細胞の分化能、再生能が優位に働き、骨様硬組織に置換する修復機構も考えられる。
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The Journal of Japan Endodontic Association 30
日本歯内療法学雑誌 第29巻
ページ: 63-72
The Journal of Japan Endodontic Association 29