研究概要 |
本研究では、熱可塑性を有することで、三次元的に賦形することができるナノコンポジットでできた生体吸収性マイクロデバイスを開発し、歯槽骨を増生する際に求められるデバイスの機械的特性および歯槽骨の増生の機序を追求することが目的である。具体的には、骨補填材として認可を受けているリン酸三カルシウムと医療材料として既認可の乳酸とグリコール酸およびカプロラクトンを共重合させてできたポリ乳酸共重合体を加熱して練和することで複合化させた生体吸収性材料をマイクロデバイスとして開発した。そして、理想的な歯槽骨の形態となるように三次元的に賦形したマイクロデバイスを骨切り部もしくは骨欠損部に適用して、骨組織の増生を図る。 平成18年度は、厚さ0.2mmの膜状の生体吸収性デバイスと直径1.5mm,長さ2.5mmのリベット状の生体吸収性マイクロデバイスのin vivoにおける有効性について検討を行った。具体的には、比較的大きな骨欠損を膜材料で覆い、リベットで膜材料を固定した。 その結果、膜状生体吸収性マイクロデバイスについては、骨再生に適した環境を構築することができる機械的特性を有していることがin vivoで確認された。またリベット状の生体吸収性マイクロデバイスについては、膜状材料を確実に固定できる固定力をもっていることが確認された。このような生体吸収性マイクロデバイスシステムは、これまで臨床応用はされていないことから、本結果は歯槽骨増生または顎顔面骨の再建に大きく寄与するものと考えられる。 本研究では、さらに歯槽骨を増生する際、リベット状の生体吸収性マイクロデバイスで生体吸収性マイクロデバイスを固定する前に使用する仮着材(乳酸とグリコール酸およびカプロラクトンを共重合させてできたポリ乳酸共重合体)の開発を行っているが、この仮着剤についても骨面との固着についての問題は残るものの、およその効果は確認することができた。
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