研究概要 |
本研究では、熱可塑性を有することで、三次元的に賦形することができるナノコンポジットでできた生体吸収性マイクロデバイスを開発し、歯槽骨を増生する際に求められるデバイスの機械的特性および歯槽骨の増生の機序を追求することが目的である。具体的には、骨補填材として認可を受けているリン酸三カルシウムと医療材料として既認可の乳酸とグリコール酸およびカプロラクトンを共重合させてできたポリ乳酸共重合体を加熱して練和することで複合化させた生体吸収性材料をマイクロデバイスとして開発した。そして、理想的な歯槽骨の形態となるように三次元的に賦形したマイクロデバイスを骨切り部もしくは骨欠損部に適用して、骨組織の増生を図る。 平成17年度は、厚さ0.2mmの膜状の生体吸収性デバイスを直径1.5mm,長さ2.5mmのリベット状の生体吸収性マイクロデバイスを作製してその効果について検討を行った。具体的には、リベット状の生体吸収性マイクロデバイスの骨への固定性を引抜試験などによって確認した。また開窓または骨欠損を膜状の生体吸収性デバイスで覆った後にリベット状の生体吸収性マイクロデバイスで膜を固定し、その有効性について検討を行った。その結果、リベット状の生体吸収性マイクロデバイスは、膜状の生体吸収性デバイスを確実に固定できる固定力をもっていることが確認された。このようなリベット状の生体吸収性マイクロデバイスは、これまで臨床応用はされていないことから、本結果は歯槽骨増生に大きく寄与するものと考えられる。さらに現在、歯槽骨を増生する際、リベット状の生体吸収性マイクロデバイスで生体吸収性マイクロデバイスを固定する前に使用する仮着材(乳酸とグリコール酸およびカプロラクトンを共重合させてできたポリ乳酸共重合体)の開発を行っている。
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