研究概要 |
本学倫理委員会に提出し,承認された研究計画に基づき,本学顎関節咬合科を受診したブラキシズムを有する患者20名を対象に,睡眠時ブラキシズムに関する臨床検査項目ならびに質問表によるアンケートを実施し,検討を行った.その結果,睡眠時ブラキシズムとの関連が認められた項目が明らかとなった.このことをふまえ,これらの睡眠時ブラキシズムとの関連か認められた項目の中から,新たに「睡眠時ブラキシズムの臨床所見検査表」を作成した. 検査表の作成と並行して,睡眠時ブラキシズムの重症度に関する臨床的診断基準を確立するために,ブラキシズム時に活動する咬筋筋電図と脳波,歯ぎしり音の同時記録における計測を行った. この実験では,5名の被験者に対して,脳波計とポータブル型筋電計,騒音計の3つの装置を用いて,自宅での睡眠中の計測を各被験者3回(3夜)行い,分析を行った.その結果,睡眠時ブラキシズムの回数,睡眠時ブラキシズムの継続時間,睡眠時ブラキシズム発生時の咬筋MVC値により各被験者の睡眠時ブラキシズムの重症度について評価する評価基準の作成することができた. 睡眠時ブラキシズムの重症度に関する臨床的診断基準として睡眠時ブラキシズムの回数に着目し,睡眠時に発生したブラキシズムの回数を計測できる皮膚貼付型の計測装置を用い,患者負担の軽減を図った.これにより昨年課題であった機器の取り扱いで生じる誤差などの軽減が可能となり,実験の精度が向上した.睡眠時ブラキシズムの重症度判定結果と臨床検査の結果との関連について,被験者5名で,各被験者3回(3夜)の計測を行い分析した.その結果,ラキシズムの重症度を表す臨床的因子が存在したことから,「ブラキシズムの重症度を表す臨床的因子は存在しない」帰無仮説が棄却され,ブラキシズムの重症度を表す臨床的因子の存在が明らかとなった.
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