研究課題/領域番号 |
17592020
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森重 恵美子 大阪大学, 大学院歯学研究科, 研究員 (60397768)
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研究分担者 |
石垣 尚一 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40212865)
矢谷 博文 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (80174530)
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キーワード | 顎口腔機能異常 / 疼痛 / 認知行動療法 / 無作為化臨床比較試験 / スプリント |
研究概要 |
顎口腔機能異常(Temporomandibular Disorders、以下TMD)は、過去においては不正な咬合がTMDの発症因子になりうるとの意見が強かった経緯があり、各種スプリントによる治療や補綴、矯正治療が多くなされてきた。ところが最近、TMDのうち顎関節の症状についてはその自然経過が報告され、TMDが自然消退傾向をもつself-limitingな疾患であることがわかってきた。また、TMDのもう一つの主症状である咀嚼筋痛について、その治療法の選択基準にはあいまいな点が多く残されている。これらの症状に対する従来の代表的な保存的治療法としてはスタビリゼーションスプリント(以下SS)の使用があげられるが、SSの有効性については意見が分かれていること、適応症の基準があいまいなこと、といった問題点がある。 一方、認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy、以下CBT)は、疼痛に対する認知の歪みを不適応の原因とみなし、不適応行動の解消を目的とする治療法である。本来は社会心理学的な分野から発展したものであるが、腰痛、機能性頭痛、癌性疼痛などへの有効性が示されている。臨床現場では、CBTが咀嚼筋の慢性疹痛の軽減に有効であると感じることも多く、少数例での調査では、咀嚼筋慢性筋痛患者の80〜90%に有効という手応えがあった。 今回、CBTのみ行っても、SSによる治療成績に劣らない治療成績が得られる可能性を調べるため、本臨床試験を計画した。本臨床試験は咀爵筋の慢性筋痛を対象として、CBTのみを12週行う治療の臨床的有効性が、CBTと同時にSSを併用する12週の治療に比較して非劣性であることを確認しようとした。 対象患者は、頭頸部咀嚼筋慢性筋痛(非炎症性)患者とした非盲検並行群間無作為化比較試験を企画した。対照治療は、CBTと同時にSSを12週間併用する治療、被験治療はCBTのみを12週間行う治療とした。割り付け方法は中央登録方式による無作為割付けとし、治験管理センターに依頼した。
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