研究概要 |
本研究の目的は,マイクロフォーカスX線CTを用い計測した画像データから,メタルフリークラウンの適合性や内分欠陥を3次元的かつ非破壊的に評価する方法について検討することである.本年度は適合性について実験を行った.実験方法として,実際の臨床に即した形態・寸法をもつ上顎左側第一大臼歯の超硬石膏製支台歯模型を用いた.そしてメーカー指示に従い,メタルフリークラウン(Angel Crown ; Media, Procera Allceram ; Nobel Biocare, IPS Empress ; Ivoclar Vivadent, Estenia ; curaray)を作製した.クラウン試料に適合試験材(フィットチェッカー2;GC)を介在させて作業用模型に戻した後,マイクロフォーカスX線CT(SMX-225CT-SV3;島津製作所)を用いXYZ軸それぞれ13μmピッチで断層撮影を行った.そして画像から間隙部を抽出した後,三次元ボリュームモデル生成ソフトウェア(VGStudio MAX1.2,Volume Graphics)および肉厚解析ツールを用い,オールセラミッククラウンと支台歯と間隙部を三次元表示し評価した.その結果,マイクロフォーカスX線CTを用いることにより,間隙間隙部を3次元的に表示することができた.さらに,肉厚解析ソフトを用いることで,厚みの差をカラーで表示することができ、容易に部位による厚みの差を認識することができた.各試料の適合状態について,Angel crownは咬合面に相当する部分と軸面との隅角部に大きな間隙を認めた.Proceraは咬合面に相当する部分とシャンファー部分に大きな間隙を認めた.Empressは軸面の間隙が非常に小さかった.咬合面とマージン部に間隙を認めた.本実験結果より,マイクロフォーカスX線CTを用いることで,各種メタルフリークラウンの適合性を3次元的かつ非破壊的に評価することができた.
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