研究課題/領域番号 |
17592034
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
大野 弘機 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70018430)
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研究分担者 |
平井 敏博 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (80014273)
遠藤 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (70168821)
川島 功 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (50133244)
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キーワード | 高温酸化 / 多孔質構造 / 歯冠用硬質レジン / 低溶陶材 / アパタイト |
研究概要 |
研究代表者らは、高温酸化と酸洗を組み合わせた処理によって、金合金表面に多孔質構造を形成する方法を考案した。この構造に高分子材料を接着すると、生体内で耐久性を有する金属/高分子材料接合構造が構築できることを報告した(Dent Mater,2003;Ohno)。さらに、このスポンジ構造に歯冠用硬質レジンや低溶陶材、アパタイトを被覆する技法を開発するために、基礎研究と臨床研究を遂行した。 基礎研究としては、多孔質構造の形成機構を解明した(Dent Mater 2005;Ohno)。また、接着強さに及ぼす化学結合と機械的結合の効果を調べた(J Jpn Soc Dent Prod 2005;Haneda)。その結果、接着強さに及ぼす機械的結合の効果は、機械的結合と化学的結合による複合効果の約1/2であった。もしも口腔内において長期使用中に接着界面の劣化が起こるとすると、化学的結合の消失である。接着性モノマーによる化学結合が破壊した場合、最後に接着構造物の結合を支えるのは機械的結合である。この意味において、多孔質構造による機械的結合の意義は大きいと考えた。 臨床研究としては、多孔質構造をメタルコーピングへ応用し、ハイブリッドセラミック型硬質レジンを用いてブリッジを製作する臨床技法を確立した(J Dent Engineer 2005;大野)。この技法においては、硬質レジンを築盛する前の操作として、過酸化ベンゾイルを添加したフルオアブルレジンを多孔質構造の表面に筆で薄くコーティングした。続いてフルオアブルレジンを70℃で加熱重合し、それ以後は通法にしたがって、メタルフレームの全体に硬質レジンを築盛・重合し、ブリッジを完成した。従来から用いられているリテンションビーズを利用した維持機構は凸構造である。本研究で開発した維持機構は凹構造である。凸よりも凹による機械的維持が優れている点は、審美性を確保するためにレジン層を厚くできることである。また歯質の削除量を減少できることである。
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