研究課題
ヒト肝臓ガン由来のHepG2細胞を用いてビスフェノールA(BPA)誘導体とフタル酸エステル類のCYP1A1誘導能を調べ、その誘導機構を考察した。その方法としてPolymerase chain reaction(PCR)法とルシフェラーゼアッセイ(Luc.assay)を用いた。その結果、BPAは、AhRを介してXREに結合し、レベルは低いがCYP1A1を発現誘導することが示唆された。またBPAは、AhR mRNAレベルが対照(dimet hylsulfoxide、DMSO)の3.1倍を示し、AhRを発現誘導する可能性を示唆した。このAhR発現誘導がBPAとMCの共暴露によるCYP1A1 mRNAレベルの相乗的な増大の理由であると考えられた。さらにCYP1A1の発現誘導に細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が関与していることが示唆された。一方Peroxisome proliferator-activated receptors(PPARα)のアゴニストであるWY-14643を比較対照としてジ(2-エチルヘキシル)フタレート(DEHP)のCYP1A1誘導能を調べた。WY-14643暴露による結果からCYP1A1の誘導はAhRを介さずに別の経路、すなわちPPARαを介して誘導され、AhRを発現誘導することが示唆された。しかしDEHPは、AhRを介してCYP1A1を発現誘導することはなかった。さらにAhRの発現を誘導する傾向はあったが、有意にAhRの発現誘導を増大することはなかった。Ca^<2+>不含の培養液を用いるとWY-14643もDEHPもCYP1A1の誘導は低下することからPPARαを介するCYP1A1の誘導もCa^<2+>の影響を受けているものと考えられた。従ってCYP1A1の誘導にはCa^<2+>の存在が必須であると考えた。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
84^<th> International Association for Dental Research (Brisbane), Abstract : J Dent Res, #0958 85, Special Issue B (CD-ROM)
第48回日本歯科理工学会学術大会(名古屋)抄録 : 歯科材料・器械 25.5
ページ: 356