研究概要 |
コンポジットレジン系5種類,PMMA系2種類,計7種類のレジンセメント用いて,剪断接着強さ,機械的性質の測定,無機質フィラーの評価を行った. 研磨したチタン板(10×10×2mm)と,25μm,110μmのアルミナ粉末を用いてサンドブラスト処理を施した被着面を作製した.MDPモノマーを含有する金属接着性プライマー(Epricord, Kuraray)の塗布後,各レジンセメント泥を塗布し,チタン製円板状接着体(φ8mm×2mm)の接着を行った.接着試験は,万能試験機を用いて剪断試験を行い,剪断接着強さ(SBS)を求めた.また,円柱状のセメント硬化体(φ6mm×h3mm)を作製し,37℃大気中保管後,ダイヤメトラル圧縮試験を行い,計算からダイヤメトラル引張強さ(DTS)を求めた.また,レジンセメント硬化体(φ10mm×1mm)を用い,焼却前後の試料の重量変化から,フィラー含有量(wt%)を計算して求めた.また蛍光X線分析によるフィラーの組成分析,反射電子組成像によるフィラーの観察を行い,フィラーの特徴についても評価を行った. 110μmのアルミナ・サンドブラスト+プライマーで処理されたチタンに対するレジンセメントのSBSは,40-75MPaとなった.また,コンポジット系では研磨面+プライマーのチタンと比較すると2倍-3.7倍の増加が認められた.DTSは20-50MPaとなったが,同一条件の被着面を用いたにも関わらず,SBSの増加率とDTS間には明瞭な関係は認められなかった.また,コンポジット系のフィラー組成はセメントにより大きく異なり,またフイラー含有量は66-75wt%となったが,DTSとの相関は認められなかった.これらの結果から,レジンセメントの機械的性質はフィラー含有量の影響よりも硬化体の状態に大きく左右され,通常の形状のバルク試験片ではレジンセメントの機械的性質の評価を適切に行えないことが認められた.このため,来年度の研究ではレジンセメントに適した機械的性質の評価法の開発ならびにレジンセメントの硬化挙動と機械的性質の関係について評価を行う予定である.
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