研究課題
基盤研究(C)
過酸化水素、過酸化尿素を用いて漂白操作を行った牛歯エナメル断面の超微小硬さを測定した結果、表面下2μmでの10%CP、30%CP、10%HPおよび30%HPで180分間処理したΔH値(硬さの差)はそれぞれ-1.71±1.70、-3.10±1.30、-1.65±1.34および-1.59±0.04GPaを示した。また表面下50μmでの10%CP、30%CP、10%HPおよび30%HPで処理したΔH値はそれぞれ-0.34±0.44、-0.14±0.39、0.05±0.56および-0.23±0.23GPa、であった。過酸化物で処理したエナメル質は、エナメル質表面下20μm付近までの超微小硬さの低下が認められたものの、50μmでは過酸化物の種類、濃度および処理時間によらず(ANOVA, p>0.05)超微小硬さの低下はみられなかった。SEMによる断面形態観察では、過酸化物の濃度が高い方が、エナメル質深部まで粗?になっていた。過酸化尿素はエナメル質を全体的に溶解した像を示したのに対し、過酸化水素はエナメル質のエナメル小柱鞘を部分的に溶解したと考えられる像を示した。180分間の浸漬時間で最もエナメル質深部まで影響していたが、過酸化尿素でも過酸化水素でもエナメル質表層から約5μmまでだった。以上の結果より、種類、濃度および処理時間によらず過酸化物溶液の影響が表層のみであることから、変色歯改善のメカニズムはエナメル質表層を粗?にすることによる光の散乱、つまりエナメル質の透明度の低下が要因の1つと考えられた。
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