研究概要 |
酸化ジルコニウム(ジルコニア)セラミック修復物の長期耐久性を擬似口腔内環境化において評価し,素材,臨床術式,技工術式等に検討し,臨床応用に示唆を与えることを本研究の目的とした. 1.支台歯の軸面テーパー度,セメントスペース量の変化がジルコニア修復物の適合に及ぼす影響 3種類の支台歯の軸面テーパー度(両側テーパー度6,12および20°)を有する金属金型を準備し,それら支台歯に対してジルコニアコーピングをCAD/CAMにて製作した.CADにおけるコーピング設計時に,コンピュータ上で3つのセメントスペース量(10,30,60μn)を付与し,計90個のジルコニアコーピングを製作した.ジルコニアコーピングの適合を,歯頸部辺縁および内面間隙量で評価を行った.その結果,辺縁間隙量(27〜43μn)および内面間隙量(54〜70μn)双方とも臨床的許容範囲内の値を示した.辺縁間隙量はセメントスペース量が60μnの場合,テーパー角が大きくなるに従い小さな値を示した.内面間隙量はテーパー度20。群が他の群と比較し小さな値を示した. 2.支台歯の歯頸部辺縁形態の相違がジルコニアクラウンの破壊強度に及ぼす影響 3種類の歯頸部辺縁形態ショルダー,ラウンデッドショルダー,シャンファーの仮想上顎右側中切歯金型を準備した。それら支台歯に対してCAD/CAMを使用し,計30個のジルコニアクラウンを製作した。それら試料に口腔内環境を模倣した装置(Chewing simulator)で繰り返し荷重を付与し、その後破壊強度試験を行った。その結果,繰り返し荷重に最後まで耐えた試料は,臨床での咬合力に十分に対応できる破壊強度を示した.一方,繰り返し荷重試験中に各群に前装セラミックスの破折が認められる試料があったため,前装セラミックスとジルコニアセラミックスの接合に関する更なる研究が必要であると考える.
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