研究概要 |
これまで臨床においては,歯科用陶材は表面品位を高める目的で仕上げ研磨加工後に,最終仕上げとして,通常グレイジング(艶焼き)という熱処理が行われてきた. しかし,Fairhurstらにより,グレイジングの効果を強く否定する報告が行われた.研究代表者らは,比較実験を行い,実験を行った4種類の全ての陶材についてグレイジングの効果を否定することができないことを明らかにした.これより,陶材に対するグレイジングの有効性の議論が今後も必要であることと,陶材に対する仕上げ研磨加工が極めて重要であることを明らかにした. 本研究においては,歯科技工用砥石開発に関する新しい試みとして,これまで固定砥粒としてはほとんど使用例のない多結晶ダイヤモンド砥粒を用いた.砥石については,臨床応用を目的とした仕上げ研磨加工用のゴムボンドダイヤンド砥石を製作して,歯科用陶材を研磨し,グレイジング面と同等の滑沢な面を得ることを目的としている. 本年度は実験装置の設計を行い,各部品を製作して組み立てた.砥石に関しては,結合材にクロロプレンゴムを用いたゴムボンドダイヤモンド砥石を製作した.現在,実験装置の加圧アームの調整を行い,陶材の試験片が砥石に均一に接触するように調整を行いながら,予備研磨実験を行っている.一部,実験結果も得られており,歯科用陶材のグレイジング面と同等の表面粗さに研磨加工を行うことができた.今後は,臨床における研磨加工条件なども考慮に入れ,砥石回転数,研磨圧力などの実験条件を設定し,研磨実験を行う予定である.
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