研究課題/領域番号 |
17592066
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
齊藤 力 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80103357)
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研究分担者 |
小林 正治 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80195792)
高田 佳之 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40313548)
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キーワード | 顎変形症 / 顎矯正手術 / 下顎骨後方移動術 / 終夜睡眠ポリソムノグラフィ / 閉塞型睡眠呼吸障害 / 頭部X線規格写真分析 |
研究概要 |
顎矯正手術は、正常な咬合関係の確立、顎顔面形態の改善ならびに顎口腔機能の回復を目的として行われるが、顎骨の移動に伴い周囲組織にも様々な変化が生じ、上気道形態への影響も指摘されている。そこで本研究では、下顎骨後方移動術に伴う顎顔面ならびに気道形態の変化を分析するとともに、睡眠時の呼吸機能への影響を調査した。 下顎骨後方移動術を施行した顎変形症患者22名(男性8名、女性14名)を対象とし、術前後の側面頭部X線規格写真分析ならびに終夜睡眠ポリソムノグラフィ(PSG)検査結果を用いて下顎骨後方移動術が気道に及ぼす影響を検討した。さらに、対照群として明らかな顎顔面形態に異常のない男女7名(男性2名、女性5名)のPSG検査ならびに側面頭部X線規格写真分析を行い、比較検討した。その結果、下顎後方移動量と1時間当たりの無呼吸と低呼吸の回数を表すAHIの変化量には正の相関関係が認められた。術後6か月時にAHIが5以上を示し軽度の睡眠時無呼吸症候群と診断された症例は2例で、いずれも下顎骨後方移動量が10mm以上と大きい症例であったが、睡眠時無呼吸症候群の自覚症状は認められなかった。一方、下顎骨後方移動症例と対照群の比較では、舌骨の位置、気道形態ならびに睡眠時の呼吸状態に関して統計学的に有意差は認められなかった。 以上のように、本研究結果からは下顎骨後方移動量が大きく生体が適応しきれない場合には閉塞型睡眠時無呼吸症候群を発症する可能性が示唆された。顎矯正手術後の閉塞型睡眠時無呼吸症候群発症を未然に防ぐためには、気道形態も考慮した手術計画を立案すべきである。
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