研究課題
過剰歯が見出された新規BMP拮抗分子であるUSAG-1欠損マウスを用いて、過剰歯のメカニズムを遺伝子レベルで明らかにすることを目指し解析を行った。野生型及びUSAG-1欠損マウスを用いて、胎生11週から生後3日まで、HE染色、免疫染色、in situ hybridization法、TUNEL法にて組織学的評価を行った。野生型では、痕跡的な乳切歯が胎生15週まで発生が進むが、以後縮小、消失して行くのに対し、USAG-1次損マウスでは、胎生15週以降も発生が進み、歯牙の形成を認めた。胎生14,15,16週でApoptosisを比較したところ野生型の歯間葉細胞おいて多く認められた。更に、USAG-1欠損マウスで、リン酸化Smad1/5/8抗体陽性細胞の数が歯間葉細胞おいて増加していた。また、USAG-1欠損マウスの歯間葉細胞おいてβカテニンの発現が亢進していることが見出された。過剰歯の形成は、同部でUSAG-1欠損によりBMPの機能が亢進されたため歯間葉細胞のApoptosisが抑制されたためではないかと考えられる。更に、USAG-1はBMPに加えてWntのシグナリングも調整していると考えられる。ヒトにおいても痕跡的な第3歯堤の存在が報告されており、本研究において過剰歯の起こる分子機構の一端を明らかにするものと考えられた。
すべて 2006
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J Clin Invset. 116
ページ: 70-79