研究課題
関節炎自然発症モデルマウス:progressive ankylosis(ank)の解析を行った。一月齢、二月齢、三月齢、四月齢、五月齢、六月齢における変異のホモ接合体および野生型の各雌雄個体につき、顎関節および後肢指関節のヘマトキシリン-エオジン染色標本を作製し形態変化を観察した。後肢指関節における関節の破壊像は、六月齢ホモ接合体においては極めて著名に認められたに対し、野生型と比較して関節円板の菲薄化と顎関節滑膜への軽度の炎症反応が認められた。これらの事より、顎関節の病態の進行は他の関節に比べ緩慢であるが、関節炎が惹起されることが明らかとなった。本研究においマウスank遺伝子と相同なヒト遺伝子であるANKH遺伝子を関節内障発症に関わる候補遺伝子の一つとして、顎関節内障患者に対するANKHの遺伝子多型を解析した。方法:本学附属病院を受診し、十分なインフォームドコンセントを行った後、同意を得られた関節内障click 16例、closed lock 39例、計55例の患者を対象とした。ANK調節領域をgenomic PCRにて増幅し、ダイレクトシークエンスによりANKHの調節領域内に存在する遺伝子多型ANK-TR(GGCの7-8回の繰り返し配列)、ANK-OR(TCGCCCCGの1-2回の繰り返し配列)に関して遺伝子多型解析を行った。結果:ANK-TRに関して、7/7がclick2例、closed lock 6例、7/8がclick 11例、closed lock 17例、8/8がclick 3例、closed lock 16例であった。ANK-ORに関して、1/1がclick 1例、closed lock 6例、1/2がclick 12例、closed lock 13例、2/2がclick 3例、closed lock 20例であった。Allele頻度に関しては、ANK-OR、ANK-TRともにclick、closed lock群間に統計学的有意差を認めなかった。遺伝子型では、ANK-ORにおいて、closed lock群で2/2の割合が有意に高かった。
すべて 2006
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J Clin Invset. 116
ページ: 70-79