研究課題/領域番号 |
17592076
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
丹羽 均 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30218250)
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研究分担者 |
杉村 光隆 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (90244954)
廣瀬 陽介 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (20362684)
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キーワード | 鍼 / 自律神経 / 血圧ゆらぎ / 心拍ゆらぎ / 交感神経 / 副交感神経 / ストレスホルモン / クロモグラニンA |
研究概要 |
<目的> 経穴を鍼刺激することによって起こる自律神経機能の変化を、血圧・心拍変動スペクトル解析を用いて評価した。 <方法> 対象は、健常成人8例(平均年齢30.1±6.9歳)とし、心疾患や自律神経障害を有する者は除外した。測定は、室温25〜26度に保たれた静かな部屋にて、心電図および、トノメトリー法を用いた血圧計(コーリンメディカル製BP-508)を装着し、心電図および血圧を連続記録した。30分間の安静仰臥位にてcontrol値を測定した後、ステンレス針(直径0.2mm×40mm,セイリン社)を用いて、右手の合谷、手三里に約1cmの深さで鍼を刺入した。施術は同一の鍼灸師が行った。その後30分間置鍼した。得られた、血圧、心拍数のデータを自律神経解析ソフト フラクレットにてwevelet解析し、血圧ゆらぎの低周波成分(SBP-LF:0.04〜0.15Hz)、心拍ゆらぎの高周波成分(HR-HF:0.15〜0.5Hz)を重畳波形分解法により求めた。SBP-LFのパワーは交感神経活動、HR-HFのパワーは、副交感神経活動の変化の指標とした。コントロール値、鍼直後、5分後、10分後、15分後、20分後、25分後のHR、SBP、SBP-LF、HR-HFを比較した。 <結果> HRは、鍼直後に有意ではないが低下傾向がみられた。SBPは鍼刺激による変化はみられなかった。SBP-LFについては、鍼直後に有意な低下(P<0.01)を示したが、5分後にはほぼコントロール値への回復を認めた。鍼刺激によるHR-HFの変化はみられなかった。 <考察> 以上より、鍼刺激直後には一時的に交感神経が抑制され、心拍数は減少する傾向があったが、反応は持続せず、5分後には回復したものと考えられる。 <今後の展開> 今後は鍼入後の低周波電気刺激による、自律神経活動への影響を調査する。さらに、血圧・心拍変動解析のみならず、鍼刺激による唾液中クオモグラニンA(CgA)の変化や、鍼刺激が三叉神経における体制感覚誘発電位(SEP)におよぼす影響についても検討する。
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