研究概要 |
顎顔面領域の外傷、悪性腫瘍や先天奇形のために、顎顔面領域に広範な欠損を生じた患者に対して機能と共に形態を回復することは、患者自身の社会復帰にとって極めて重要である。移植外科や再生医療の発達はめざましいものの、目、耳、鼻、頬部などの顔面組織形態を回復するためには、現状ではエピテーゼが最も優れている。また成長期の患者では成長に合わせて作り代えることも可能である。 本研究では、インプラントの残存骨面への自動適合顔面欠損部の非接触印象採得法の開発、エピテーゼの形成、色付けの自動化を行い、完成までに要する患者の負担を軽減すると共に、製作者が初心者であっても、ある水準以上のエピテーゼが作製できるシステムを開発することである。本年度はエピテーゼの製作過程で最も熟練と時間を要するワックスエピテーゼの製作に有用なナビゲーションシステムを開発した。 このナビゲーションシステムでは,コンピュータソフトPhotoshop7.0を使い,患者顔貌回復画像を作成し,画像をプロジェクタ(V3-131 PLUS 日本)で石膏顔面模型に投影し,画像をガイドとしてワックスエピテーゼの製作を行うものである.義眼の位置や顔面のしわなどが適切でない場合はピントが合っていないので容易に判断できる。義眼の位置は大変重要であり,従来の方法では義眼の位置決定には多大の時間を要していた. 今回開発した顔面補綴製作時のナビゲーションシステムは,義眼の精確な位置決定が可能で、ワックスエピテーゼの彫刻の大部分を技工室で行うことができるため,診療時間の短縮にも繋がり、患者の苦痛を軽減することが可能である。
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