研究概要 |
4週齢と10ヵ月齢ウィスター系雄性ラット頭部組織をRNA抽出用と組織標本用に分けた.RNA用組織として正常骨膜と剥離復位骨膜をサンプリングし,液体窒素で急速凍結後-80℃で保存した.各組織からのRNAは,RNase-free DNaseで処理した.アンカープライマーを添加後,サーマルサイクラーで加温して逆転写反応を行った.cDNA溶液を含むPCRミックスを増幅させ,D.D法で発現パターンの異なる遺伝子の検索を試みた.現在BMP-2遺伝子を中心に解析中である. In situ hybridizationとH-Eのため,4% paraformaldehyde溶液を用いて,浸漬固定した.最初にH-E標本を作製して評価した.4週齢(幼若期)ラット頭頂骨骨膜(以後骨膜)は細胞成分が大部分を占めており,線維構造は幼若であった.すなわち,骨に接する内層は細胞成分が豊富で,明るい細胞質を有する骨芽細胞と胞体の大きい前骨芽細胞で構成されていた.疎性結合組織に接する外層は幼若な線維成分と血管から成り,血管周囲には紡錘形から円形の未分化間葉細胞を認めた.PCNA陽性細胞は,血管周囲の円形から紡錘形の細胞の核に陽性像を認め,線維間の紡錘形細胞にも散在性に陽性を認めた.骨形成細胞層には陽性像を認めなかった.一方,40週齢(成体後期)骨膜の約半分は脂肪細胞であり,骨膜は菲薄化傾向を示した.骨形成層も菲薄化を認めた.すなわち,細胞成分は乏しく,骨芽細胞は線維芽細胞様に扁平な形態を呈していた.線維層の外側は多数の脂肪細胞が一列に配列し,脂肪層を形成していた.線維層は脂肪層に圧迫されるように菲薄化し,線維芽細胞数は減少し,扁平化を呈していた.血管は脂肪細胞間に少量混在を認めた.PCNA陽性細胞は極僅かに,血管周囲と脂肪細胞間の円形から紡錘形の細胞の核に陽性像を認めた.線維層と骨形成細胞層には陽性像を認めなかった.
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