4週齢(幼若期)と40週齢(成体後期)ウィスター系雄性ラットからRNA用組織として正常骨膜と剥離復位骨膜をサンプリングし、液体窒素で急速凍結後-80℃で保存した。BMP-2遺伝子ノーザンプロット分析結果:4週齢正常骨膜に強い発現が認められたが、10ヵ月齢では発現が減弱した。剥離復位骨膜では、4週齢と40週齢共に発現が増大した。 in situ hydridizationとH-E染色のため、4%paraformaldehyde溶液中に浸漬後マイクロウェーブ処理を加えて固定した。 BMP-2遺伝子in situ hydridization結果:4週齢正常骨膜では、骨芽細胞から前骨芽細胞、血管周囲の紡錘形細胞に遺伝子発現が観察された。40週齢正常骨膜では血管周囲の紡錘形細胞にわずかな発現が見られた。H-E染色から40週齢(成体後期)骨膜は菲薄化傾向を示し、骨膜の約半分歯脂肪細胞であった。すなわち、加齢に伴い骨形成性の細胞成分に乏しく、血管周囲の未分化間葉細胞が遊離したBMPのシグナルを受けて、BMP-2遺伝子を発現するものと考えられた。剥離後は細胞突起の切断により骨芽細胞層は壊死した。母骨や壊死骨芽細胞層由来のBMP familyが骨膜の修復再生に関与する可能性が示唆された。なお、BMP抗体を使用した免疫染色を試みたが陽性細胞の判定はできなかった。原因は抗体の特異性が弱いことや、組織細胞の抗原性が処理過程で低くなったことが考えられる。
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