研究分担者 |
北所 弘行 北海道医療大学, 個体差医療科学センター, 助教 (00347775)
柴田 敏之 岐阜大学, 医学部, 教授 (50226172)
安彦 善裕 北海道医療大学, 個体差医療科学センター, 教授 (90260819)
有末 眞 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (20091407)
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研究概要 |
1. Malotilateが癌細胞およびRLEの増殖能に与える影響 Malotilate10ng/mlの共存下でヒトロ腔扁平上皮癌細胞株5系(SAS, Ca9-22,HSC-2,HSC-3,HSC-4)およびラット肺血管内皮細胞RLEを処理しても、おのおのの細胞において、その増殖能には影響を及ぼさなかった。 2. Malotilateが細胞聞結合装置の発達に与える影響 in vitroにおいてラット肺血管内皮細胞とヒトロ腔扁平上皮癌細胞にMalotilateを作用させ観察を行った。 (1)超微形態学的観察 Malotilate10ng/mlで24時間処理したRLEにおいてはcontrolのRLEに比べgap junction様の細胞間結合装置の発達が著明であった。ヒトロ腔扁平上皮癌細胞株SASにおいても同様にMalotilate10ng/mlで24時間処理したところ、gap junction様の細胞間結合装置の誘導が認められた。 (2)細胞間結合装置構成タンパクの検索 血管内皮細胞のMalotilate処理により経時的また濃度依存的にconnexin43の発現が増大した。しかし、connexin26、connexin32、ZO-1、Desmogleinの発現には影響を与えなかった。ヒトロ腔扁平上皮癌細胞株SASにおいても経時的、濃度依存的にconnexin43の発現が増大が確認された。 3. Malotilateにより誘導された細胞間結合装置の機能検索 Wound Healing assayにおいてMalotilate処理により血管内皮細胞および癌細胞株SASにおいてcontrolと比較し有意にscatterringが抑制され、細胞間結合装の誘導の伴うものと示唆された。 Lucifer Yellow CHを用いて細胞間連絡能の検討を共焦点レーザー顕微鏡にて観察したところ、Malotilate処理血管内皮細胞において有意に色素移行率が上昇していた。 4. Malotilateによる抗腫瘍効果の検討 ヌードマウスにSAS移植後よりMalotilate200mg/kgの強制経口投与を行っても抗腫瘍効果は認めなかった。また、CDDP単独投与群よりCDDP+Malotilate併用群でより高い抗腫瘍効果が認められた。 以上のことより、Malotilateは血管内皮細胞および癌細胞において、細胞間結合装置、特にgap junctionの形成を促し、細胞間communicationが増すことで抗癌剤感受性が増強すると示唆された。
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