研究概要 |
外科的矯正治療の骨格診断と下歯槽神経障害回避のためにセファロスタットを用いて撮影されたCT(Simens Somatom Plus4 Volume Zome)の医用標準画像データ(DICOM3)を東京歯科大学千葉病院放射線科よりデジタルデータとして提供を受け、Macintoh用のOsiriXにより顎変形症の骨格形態診断に使用した。 本研究の当初の目標である顎顔面形態の三次元分析ソフトウエアの開発に関して、ソフトウエア開発業者の都合から変更を行った。まず、(1)新規に開発に着手するには研究開発期間が長期に及ぶこと、(2)将来的な臨床応用と歯科医療への普及には、三次元セファロ分析が必要となること。(3)顔面用非接触三次元形状計測装置の将来的な歯科医療への普及には限度がある(大学病院等の研究施設以外の矯正歯科医や病院歯科口腔外科への普及が期待できない)こと、などをふまえ、歯科用のConeBeamCTなどが一般歯科医、矯正歯科医に設置がなされ始めたこともふまえて、基本的なデジタルデータをCT装置より採取することにした。また、現状では三次元セファロ分析や手術シミュレーションに若干の改良点が必要とはなるが、ソフトウエア的な基本骨格が完成され歯科インプラント開業歯科医に多く及しているベルギーマテリアライズ社のSimPlantをベースとしたSimPlantCMF(3D cephalometry, Virtual CMF surgery)が三次元セファロ分析と顎変形症手術シミュレーションが可能なレベルまで到達しており、今後の開発協力を日本の代理店である株式会社横河マテリアライズを通して得られたため、本研究でのメインソフトウエアとして購入して使用した。 手術シミュレーション部分については、上顎骨切り術、下顎骨切り術、顎骨延長術など外科的矯正手術のシミュレーションが概略で可能であり、実際の治療計画に使用しうる範囲であった。また、三次元セファロ分析の部分に関しては、二次元では正確に行えなかった非対称症例などの分析を、三次元モデル上で左右の別に正確な測定点を定義できることが実現されており、かつ気道の各種体積計算などが可能となっており、術後の無呼吸症候群の発生予防などを防止するためのデータ収集でも利用可能であった。さらに、顎骨上に軟組織を付加して、術前・術後の顔貌の変化を確認可能な、顔貌シミュレーション(オプション)が本年度末にリリースされ、今後は軟組織計測にも応用が可能になるシステムを構築できると考えられた。
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