研究概要 |
本研究の目的は、デクスメデトミジンを用いた鎮静法について、主として脳波について、プロポフォールを用いた鎮静法と比較することで、歯科領域についての有用性を検証することであった。 実験は健康成人男子12名を被験者とし、研究の趣旨、研究方法を説明し、各2回の実験を行なった。鎮静量のプロポフォール(Prop)と塩酸デクスメデトミジン(Dex)として、Prop(P群)は8mg/kg/hrを10分間、4mg/kg/hrを20分間投与した。Dex(D群)は6μg/kg/hrを10分間、0.2μg/kg/hrを20分間投与した。各群で10〜20分の間に歯石除去を行った。脳波の測定には前額部にエントロピーTMとBISセンサーを装着し、脳波エントロピーにはエントロピーS15コンパクトモニター・エントロピーTM(Datex Ohmeda社製)を用いてSEとREを測定し、BISにはBISモニタを用いてBIS値を測定した。脳波のほかに、Ramsayスコア、健忘効果、呼吸循環動態(心拍数、収縮期・拡張期血圧、Spo2、呼吸数、Etco2)を120分まで測定した。 その結果、薬剤投与中には、両群でBIS、SE・REは低下(Min : P群;60±15、51±22、56±23,D群・・51±17、36±19、39±22)したが、刺激時には上昇した。両群でRamsayスコアは上昇し、健忘効果が得られた。P群では心拍数が上昇し、血圧が低下し、一過性にSpo2が低下した。D群では心拍数が低下した。回復は全パラメータでD群が遅かった。BISとSEは両群で相関した。 BISとSEはRamsayスコアに相関したが、薬剤投与中はP群のほうが高い相関を示した。 Dexによる鎮静は被刺激性が高く、軽度の呼吸循環抑制を生じ、Propよりも回復が遅いことが示された。脳波エントロピーはBIS値に相関し、両モニターとも鎮静レベルを反映するが、薬剤投与中はPropのほうが鎮静レベルをよく反映することが示された。脳波エントロピーはBISに比較して、特にメリットはないものと考えられた。
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