研究課題/領域番号 |
17592119
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
楊 淑華 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (80360220)
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研究分担者 |
上松 隆司 松本歯科大学, 大学院歯学独立研究科, 助教授 (40203476)
古澤 清文 松本歯科大学, 大学院歯学独立研究科, 教授 (90165481)
高橋 直之 松本歯科大学, 大学院歯学独立研究科, 教授 (90119222)
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
中道 裕子 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 助手 (20350829)
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キーワード | 破骨細胞 / 骨芽細胞 / ペプチドグリカン / RANKL / Nod2 / 炎症性サイトカイン / 歯周疾患 |
研究概要 |
歯周疾患において認められる歯槽骨吸収は、LPS(リポ多糖)などの菌体成分により誘導される。各種の菌体成分を認識する受容体[Toll-like receptor(TLR)family]が明らかにされ、菌体成分の炎症惹起作用が分子レベルで説明できるようになった。グラム陰性菌のLPS、グラム陽性菌のリポタイコ酸(LTA)、殆んどの細菌種に分布するペプチドグリカン(PGN)、全ての細菌種の細胞質膜を構成するリポペプチド(LP)などは、いずれもCD14で捉えられた後に、LPSとLTAはTLR4に、PGNとLPはTLR2を介してシグナルが伝達される。また、PNGの構成成分であるムラミルジペプチド(MDP)は,細胞内のシグナル伝達因子であるNod2を介して作用を発現する。一方、破骨細胞分化因子(Receptor activator of NF-κB Ligand, RANKL)の発見により、骨吸収調節機構も急速に解明された。今回我々は、破骨細胞形成に対するMDPの作用を解析した。(1)マウス骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養系において、MDPは単独では破骨細胞分化を誘導せず、活性型ビタミンD_3およびPGE_2により誘導された破骨細胞形成にもMDPは促進効果を示さなかった。しかしMDPは、LPSおよびIL-1が誘導する破骨細胞形成を著しく促進した。(2)骨髄マクロファージの培養系において、RANKLとM-CSFが誘導する破骨細胞形成をMDPは促進しなかった。(3)MDPはLPSとIL-1が誘導するRANKLの発現を更に促進したが、活性型ビタミンD_3の作用を増強しなかった。(4)骨芽細胞はMDPの受容体であるNod2 mRNAを発現していなかった。LPSとIL-1は骨芽細胞におけるNod2発現を誘導した。(5)TNFαは骨芽細胞におけるNod2発現を誘導した。MDPはTNFαが誘導する破骨細胞形成を更に増強した。以上より、LPS、IL-1およびTNFαは骨芽細胞のNod2の発現を誘導し、MDPはこの誘導されたNod2を介してRANKL発現を促進する可能性が示された。
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