研究課題
基盤研究(C)
歯周疾患において認められる歯槽骨吸収は、リポ多糖(LPS)などの菌体成分により誘導される。菌体成分ペプチドグリカンの構成成分であるMuramyldipeptide(MDP)とDAP-containing desmuramyl peptide(iE-DAP)は、細胞内に存在する受容体Nod1やNod2にそれぞれ結合し、作用を発揮すると考えられている。本研究では、Nodシグナルがどのようにして、LPSが誘導する破骨細胞形成の促進や骨吸収機能を制御するのか、その分子機構の解明を目的とした。(1)破骨細胞分化におけるNodシグナルの促進作用の解析。マウス骨芽細胞と骨髄細胞の共存培養系において、活性型ビタミンDにより誘導された破骨細胞分化をNod1リガンドのFK156は促進した。また、LPSやIL-1が誘導る破骨細胞分化をMDPやFK156が促進した。骨髄マクロファージの培養系においてM-CSFとRANKLが誘導する破骨細胞分化をMDPやFK156は促進しなかった。(2)NodシグナルとTLRシグナルの相互作用の解析。骨芽細胞培養系において、MDPはLPSやIL-1が誘導するRANKLの発現を促進したが、活性型ビタミンDの作用を増強しなかった。骨芽細胞はNod2を発現していないが、LPSやIL-1によってNod2の発現が誘導された。(3)NodのRNAiによる発現抑制実験。Nod1およびNod2に対するRNAiを、ウイルスベクターを用いて骨芽細胞に導入した。Nod2をノックダウンした骨芽細胞と骨髄細胞との共存培養系において、LPSやIL-1による破骨細胞分化に対するMDPの促進作用が消失した。(4)NodのMDPの認識機構とアポトーシスの解析。Nod1は骨芽細胞および骨髄マクロファージで常に発現していた。FK156は、破骨細胞前駆細胞のM-CSFとRNAKLが誘導する破骨細胞分化に対して作用しなかったが、骨芽細胞と骨髄細胞の共培養系で活性型ビタミンDの誘導する破骨細胞分化を促進した。アポトーシスに関する解析は終了しなかった。
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J Bone Miner Metab 27(In press)
J Bone Miner Metab (in press)
Periodontology 2000 43
ページ: 56-64