研究課題/領域番号 |
17592131
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
鈴木 聖一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90187732)
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研究分担者 |
下川 仁彌太 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80014257)
柴田 俊一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (80187400)
馬場 祥行 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (70251535)
川元 龍夫 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50323704)
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キーワード | 下顎頭 / IGF-I / IGF-IR / アンチセンス / 下顎頭軟骨細胞 |
研究概要 |
従来矯正臨床においては下顎骨の成長制御は伝統的にチンキャップなどの顎整形力が用いられてきたが、近年ではその効果は成長方向を変化させるに過ぎないことが報告されており、下顎の成長発育のコントロール、特に成長抑制を行う治療手段はなく、成長後の手術に委ねられているのが現状である。そこで、本実験は下顎骨における主要な成長の場である下顎頭の成長発育を抑制する新しい手法の開発を目的として行った。IGF-Iは軟骨細胞の分裂、分化を促進する因子であり、特に局所において軟骨細胞自身が分泌するIGF-Iによるオートクリン、パラクリンの効果がない軟骨性骨成長において極めて重要な働きをしていることが明らかとなっている。そこで、本実験では電気穿孔法を用いてアンチセンス、RNAiなどを導入することによりIGF-Iレセプターの発現を抑制することにより、オートクリン、パラクリンによる軟骨細胞に対するIGF-Iの効果を抑制することが可能か確認することとした。 平成17年度は遺伝子レベルで下顎頭軟骨に対するIGF-IRのアンチセンスの効果について検索を行った。生後14日のラット下顎頭を摘出して器官培養を行い、培養液にIGF-IRのアンチセンスオリゴDNAを添加し、培養開始1、3および7日にして培養組織を回収し、IGF-IのRNAの発現についてウェスタンブロティングとPCRにて検索を行った。その結果、IGF-IR安置宣せうで処理した下顎頭軟骨では、IGF-IのRNAの発現が有意に抑制された。また、培地にIGF-IRを添加した下顎頭を組織学的に観察したところ、増殖層における細胞層が減少し、増殖層の幅が有意に短くなっていた。このような結果は、IGF-IRが下顎頭軟骨においてIGF-Iの軟骨細胞に対するオートクリン、パラクリン作用を抑制し、下顎頭軟骨における細胞増殖を抑制させたためと考えられた。
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