研究概要 |
口腔疾患の初期の段階では、多数の細菌が関与しながら病原性の高い細菌叢を形成していく「細菌叢のシフト」が起こることが知られているが、その細菌叢のシフトを的確に捉えるためには、細菌叢を構成する細菌を定量的に解析していく必要がある。そこで、本年度は、リアルタイムPCR法を用いて小児の歯垢細菌叢Streptococcus, Veillonellaについて定量的に解析した。小児44名(1歳〜16歳)の口腔内から(健康な歯面)歯垢を採取し解析の試料とした。歯垢の採取にあたっては、研究の趣旨を十分に説明、同意を得た上で行った。採取した歯垢から通法に従いDNAを抽出し、リアルタイムPCR法により歯垢中の細菌を定量的に検出した。検出系として、SYBR Green Iによるインカレーションダイを用い、Streptococcus, S.mutans, Veillonellaをターゲットとしたprimersを用いて、定量的検出を行った。健康な歯面上の歯垢では、Streptococcus割合(平均約20%)は、Veillonellaの割合(平均約2%)に比較して高い傾向を示した。Streptococcusの構成は、各試料(被験者)において多様性が認められたが、Veillonellaの割合は、比較的一定で、低年齢からも恒常的に存在していると考えられた。さらに、年齢に伴うStreptococcus, Veillonellaの構成割合の変化は認められなかった。
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