研究概要 |
昨年確立した下顎運動、頭部運動、体幹動揺の解析方法を用いて、正常者の立位と座位においる下顎運動に随伴する体幹動揺について出現様相に着目し,体幹動揺を詳細に検討した. II.方法 1.測定装置 被検者は顎口腔系に自覚的,他覚的に異常を認めない健常ボランティア6名(25〜29歳,男性)とした.下顎運動と頭部運動の記録には,6自由度顎運動測定装置TRIMETII^<2,3>)(東京歯材社製)を使用し,体幹動揺の記録には,ProReflex三次元モーションキャプチャーシステム(Qualisys社製)を用いた. 2.測定・分析法 姿勢は立位,座位の2種類として,測定開始時にCamper平面を水平に保ち,10秒間の咬頭嵌合位保持の後,20秒間のタッピング,その後10秒間咬頭嵌合位保持を1測定クールとして測定を行った. 下顎運動は上顎座標系にて下顎切歯点を,頭部は上顎切歯点,下顎頭点,頭頂点,後頭点を大地座標系で,また体幹動揺は大地座標系で胸骨点の矢状面内運動を分析した. III.結果と考察 立位,座位共にタッピング運動時,上顎切歯点はこれまでの報告と同様に,下顎切歯点と同期した動きを示した.立位,座位共に胸骨点は,下顎切歯点の動きと同期して,開口時には前方へ,閉口時には後方へ周期的な運動を示した.また立位では,呼吸と同期している大きな周期の波形が認められたが,座位にはそれは顕著でなかった. 下顎運動に随伴する頭部運動の出現率は,立位で91.2〜100%,座位で96.4〜100%と両姿勢においてほぼ100%に近い出現率を示した.しかし,下顎運動に随伴する体幹動揺の出現率は立位で54.9〜97.3%,座位で68.7〜95%を示し,頭部運動とは異なる出現様相が明らかにされた。
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