研究概要 |
写真上部に小臼歯用クランプを配置しその下にこれと同じものを左下に含む4つのラバーダムクランプを四角に配置したテスト画像1を用いて学生18名の眼球運動を測定,また下4つのクランプが天地逆のテスト画像2を用いて学生13名の眼球運動を測定した。事前に上部のクランプと同じ型を下の4つの中から探すよう指示した。上部に配置したクランプは標的項目であり,正解以外の3つのクランプは妨害項目となる。テスト画像1では,14名の眼球運動軌跡を3つのパターンに分類できた。テスト画像2では,眼球運動軌跡はほとんどパターン化することがなく,被験者により個々の様相を呈した。正解クランプに到達するまでの時間は短く,また正解クランプへの停留回数,停留時間ともに少なかった。以上よりクランプの再認において学生は標的項目と妨害項目とを逐一見比べたり,全体を見渡してから正解に到達するのではなく,短時間で正解に到達していることがわかった。 上部に標的項目としてNo.P1クランプ(乳臼歯用)を配置し,その下にこれと同じものを右下に置いて4つのクランプ(No.P1,P2,200,206)を天地逆向きで四角に配置したテスト画像を用い学生14名の眼球運動を測定した。実験直後に同じ型のものがどの位置にあったかを被験者に確認した。眼球運動軌跡は,(1)反時計回りに周回してP1クランプへ到達,(2)時計回りに周回あるいは直接P1クランプへ到達,(3)周回せずに不規則な軌跡でP1クランプへ到達,に分類できた。標的項目の再認で錯誤した被験者は3名で眼球運動軌跡のパターンは(2)だった。標的項目を速く再認したのは「時計回り」の被験者であるが錯誤した被験者はこの中に含まれ,標的項目と同じクランプへ速く到達するような眼球運動よりも,異なるクランプから見たり,標的項目と各クランプとを見比べていくような眼球運動において錯誤が少ないと推測できた。
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