研究課題/領域番号 |
17592154
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
矯正・小児系歯学
|
研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
野田 晃司 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10148059)
|
研究分担者 |
中村 芳樹 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10097321)
及川 崇 鶴見大学, 歯学部, 助教 (60386919)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2007
|
キーワード | ラチェットブラケット / 矯正装置 / 断続的矯正力 / 至適矯正力 / 痛み / 歯根膜 / 歯の移動 |
研究概要 |
今回開発した量産型ラチェットブラケットはラチェット機構を有し、それを漸進操作させることにより断続的な矯正力を発揮する矯正装置である。この装置は、歯根膜幅径未満0.25mm単位で歯の移動をコントロールするため、歯根膜の血流を阻害すること無く歯の移動を行うことができる。今回の開発ポイントである装置の小型化について、極小ラチェットスプリングを用いたことにより、ボンディングベースサイズで3.3×4.6mm程度の大きさ、およそ一般的なブラケットサイズとすることができた。ラット臼歯に対し歯根膜幅径1/3程度の距離を4日毎に移動させた動物実験では、実験期間を通して圧迫側歯根膜に変性組織が認められることなく歯の移動を行うことができ、また、歯根吸収も少なかった。本装置の使用について承諾を得た3名の矯正患者に対する治療について次の結果が得られた:(1)「痛みや不快感」に対する問診では本装置を用いた歯の移動に対する痛み等の報告は無かった。(2)歯の移動について、装置の操作ミスやそれによる不具合によって治療時間が予定よりもが長くなったケースがあった。しかしながら、装置操作の改善・向上に伴って歯の移動を予定通りスムーズに行うことができた。(3)エックス線写真(デンタルフィルム)を用いた歯根吸収の評価について、2症例には前歯部歯根尖部に吸収は認められなかった。他方、1症例には根尖が丸くなる程度の歯根吸収が認められたが、その程度は僅かであった。以上のことから、歯根膜幅径より短い距離の歯の移動を断続的に繰り返し行う歯の移動方法は歯根膜に対し為害性が少なく、この矯正力を繰り返し用いることで歯の移動を行うラチェットブラケットは痛みの無い体にやさしい矯正装置と成り得る可能性を示唆するものである。
|