1.磁場駆動材料の設計、調整 平成17年度は、本実験で用いる磁場駆動材料の開発、調整を行った。(1)材料の選択:磁場勾配を利用して駆動する材料を選択した。磁性体コバルトフェライト粉と強磁性形状記憶合金ニッケル、マンガン、ガリウム粉を用い、脆さを改善するためエポキシ樹脂と混合した。(2)振動の調整:材料には材料は交流磁気により振動させるため、コイルを作製し磁場シミュレーションを行った後、磁場の大きさによる振動数、振幅量を調整した。特にニッケル、マンガン、ガリウムでは、高周波数の振動が得られた。生体外から動きを調整するため、材料の形状を円柱状、円盤状構造にし、3次元的な制御が可能であることを確認した。(3)生体安全性の検討:生体内への長期埋入により、破損、物性の低下がみられないことを確認するため、直径5mm、高さ2mmの円柱に成形した各材料をラット背部皮下に埋入し、材料の物性の劣化、溶出について検討した。肉眼的には明らかな病的変化はみられなかった。続いて標本を作製し、組織反応は病理組織学的手法、溶出はEPMAを用いて調査するとともに、取り出した材料の物理的性質を生体外にて再度調査する。 2.動物実験モデルのコントロールの作製と評価 本研究の目的は動的環境により歯根膜様構造配列をつくることであるため、コントロールとして静的な条件下での骨に形成した間隙の組織反応を検討した。実験モデルとして、ラットを用いた。全身麻酔後、ラット頭蓋に硬膜に達する幅約0.5、1.0、1.5mmのグルーブを形成し、実験後、1、2、3、4週後に屠殺した。脱灰組織標本では、線維性骨による欠損部の修復がみられたが、1.5mmのグルーブ群では、一部線維性結合組織により埋められていた。これらの所見を踏まえ、平成18年度には、動的環境下における治癒と線維配列を組織学的手法により検討する。
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