研究概要 |
1.ラット頭蓋骨での偽関節形成 本研究で歯根膜再生と比較を行う病態の偽関節を作製するため、ラット頭蓋骨を用いた実験を継続して行った。ラットを全身麻酔、局所麻酔後、前頭部皮膚に正中で切開し、頭蓋骨を開放した。ラット頭蓋、左右頭頂骨部に硬膜に貫通する幅1mmの溝を作製した。一方は、創部が動かない約2mmの直線状の溝のみ、一方は創部が動くように四角形に溝を形成し、島状の遊離骨部を作製した。実験1,2週後に堵殺し、脱灰後、パラフィン標本を作製し、病理組織学的に観察した。実験2週後、固定された創部は骨によって埋められていたが、遊離骨周囲には一部、線維性結合組織が残存した。 2.ラット抜歯窩への移植歯の動的環境下での組織配列について ラットの抜歯窩において、人工材料として焼成歯を移植し、歯根膜やセメント質様組織の再生について検討した。あらかじめ他の実験で抜歯されたラット上顎第一臼歯を近心根のみを残して約1100℃にて焼成し、滅菌処置を行った。約6週齢のラットを全身麻酔、局所麻酔後、上顎第一臼歯を抜歯し、抜歯窩を生食にて洗浄後、焼成を移植した。移植した焼成歯は、隣接する第二臼歯にレジンにて接着した。実験1週後、過剰麻酔にて堵殺し、軟X線写真を撮影後、蟻酸脱灰、パラフィン包埋しHE染色標本を作製した。抜歯窩最深部では、線維性結合組織の形成がみられた。歯槽頂付近では、レジン連結による清掃性の問題から軽度の好中球など急性の炎症性細胞の出現がみられた。さらに分子生物学的手法により検討を行っている。
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