1.生体用磁場駆動材料の開発と調整 直接接することなく生体内外において機能させることから様々な領域で応用が期待される磁場駆動型の材料の調整を行った。作用場所を選ばない利点から材料は磁場勾配を利用した駆動材料を選択した。磁性体コバルトフェライト粉および強磁性合金(ニッケル、マンガン、ガリウム)のエポキシ樹脂の混合材料を用いた。交流磁場の距離、周波数により、振動数、振幅量を調整した。背部皮下に埋入し、生体内での長期埋入では崩壊、劣化、溶出の程度について安全性を病理組織学的および物理学的に確認した。 2.ラット頭蓋骨における偽関節形成 本研究の目的は硬組織を連結する靱帯構造をつくることにあるので、偽関節の形成についての実験を行った。はじめに頭蓋骨にグループを形成し静的状況下で新生骨および線維性組織による治癒を確認した。幅約1.5mm以上の間隙では線維性組織の形成がみられた。島状に遊離させた骨は、頭蓋腔の血圧によって動的環境にあり、1mmのグループでも骨性の連結が抑制された。組織学的には、線維性組織による連結で一部に硬組織に埋入するシャーピー線維様構造がみられた。 3.ラット抜歯窩への移植歯の動環境下での組織構築 あらかじめ他の実験等で用いられたラットの抜歯された第一臼歯を1100℃にて焼成した歯を用意し、ラット上顎第一臼歯の抜歯窩に移植した。第二臼歯と連結して咬合による可動性を付与し、移植歯と抜歯窩の間の組織構築について組織学的に観察した。短期的な結果しか得られていないが、深部では肉芽組織や線維性組織の形成がみられた。一方歯槽頂部では、レジンを用いた第二臼歯との連結により清掃性等の問題から高度の炎症がみられた。今後、第二臼歯との連結方法や咬合の機能を与えない状態と併せて長期的な観察を行い、配列の形成を細部まで観察する予定である。
|