日本人健常者においてFcγRIIB遺伝子型と末梢血白血球のFcγRIIb発現に関連があるか否かを調べたところ、エクソン4と5の間のイントロンに存在する遺伝子多型FcγRIIB nt645+26A/Gと、B細胞上のFcγRIIb発現量に関連が認められた。すなわち、 FcγRIIB nt645+26G/G<G/A<A/Aの順で発現量は高くなる傾向にあり、FcγRIIB nt645+26G/G群とA/A群の発現量にはMann-Whitney-U testで有為な差が認められた(p=0.03)。 さらに歯周炎患者のFcγRIIb発現量を健常者と比較したところ、末梢血B細胞上において歯周炎患者のFcγRIIb発現量は有為に低かった(p=0.01)。 上記の成果を平成17年9月17日にオランダ・アムステルダムで開かれた国際歯科研究学会ヨーロッパ・スカンジナビア部会で発表した。 次に歯周炎患者群において歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalis(以下P.g.)に対する血清抗体価と、上記遺伝子型の関連を調べた。その結果、IgG各サブクラスの抗体価がいずれもFcγRIIB nt645+26G/G<G/G<A/Aの順で低くなる傾向が認められた。特にP.g.sonicateに対するIgG4についてはMann-Whitney-U testでFcγRIIB nt645+26G/G群とA/A群の差が有為であり(p=0.02)、P.g.外膜タンパク(40k-Da)に対するIgG2についてはp=0.07であった。この結果は、上記の健常者における遺伝子型とB細胞上発現量との関係に一致している。 この成果は平成18年6月29日にスペイン・マドリードで開催されるヨーロッパ歯周病学会で発表予定である。
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