研究概要 |
口腔内には500種を超す細菌が複雑なバイオフィルムを形成している。これらのバイオフィルムの構成細菌のうち一部が増加することにより齲蝕や歯周病が起こる。慢性歯周炎はPorphyromonas gingivalis, Treponema denticola, Tannerella forsythensis等の細菌がバイオフィルムに定着しその割合が増加することによって起こると考えられている。本研究ではこれらの細菌のバイオフィルム形成のメカニズムおよびバイオフィルムに対する抗菌剤の効果について解析することを目的とした。 バイオフィルムの形成メカニズムを明らかにする目的でコラーゲンコートの96 wellのplateにヘミンとメナジオンを含むTryptic soy brothを加え、そこにP.gingivalisを接種し、嫌気培養を行いそのバイオフィルム形成能を定量的に測定する系を構築した。現在その系を用いてバイオフィルム形成に宿主由来の活性物質がどのような影響を与えるか検討中である。 また次の段階として、我々はpovidone-iodine gargleによる比較的短時間の処理(15,30,60秒)によって歯周病原性細菌の発育増殖を抑制することを報告し(Dermatology 2006;212:109-111)、Porphyromonas, gingivalis, Toreponema denticola, Tannerella forsythensis等の歯周病原性細菌を含む人工バイオフィルムに対してそのような薬剤がどのような影響を及ぼすかを今後検討していく予定である。
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