1.歯周治療後の患者を選定するにあたり本学倫理委員会の規定に従い同意書を作成し、喫煙の有無および年齢によりグループ分けを行った。歯周病の初期の病態像によりメインテナンス期における状態も左右されるため、歯周基本治療の範囲で改善が期待される軽度の歯周炎患者を中心に対象者を絞りこんだ。 2.歯周基本治療による治癒により臨床的に安定がえられた患者に対して細菌の動態およびT細胞を中心とする局所の免疫応答についてパイロットスタディをおこなった。患者の臨床的な症状の安定と細菌学的、免疫学的な要素は患者ごとに大きな差となっており一様な傾向は認められなかった。患者自身の持つ遺伝的な要因あるいは局所において検出される細菌が同一の菌であっても病原性の発現程度が異なる可能性があった。 3.歯周病の発現と進行の過程において宿主側の応答を判定するには歯周ポケット内の嫌気性菌に対する作用だけでは要素を限定することは困難である。歯周組織の破壊過程のどのステージにあるのかということを多角的に評価することが、臨床的に有用な測定方法を検索することが可能となると考えられる。 (1)患者ごとの治療後のデータを画一化できるような細菌、免疫学的検査項目の検討を行う。なおかつその項目が臨床的な評価と共通する傾向を認めることができる。 (2)リコール間隔を決定していく上で継続的に測定が可能な因子であることが必要である。長期的なリコールの評価を行うためには測定因子が常に安定した状態での測定が可能なものである必要が求められる。感染初期における内毒素の及ぼす影響は種々の方法で測定することが可能である。 (3)局所における免疫応答について歯肉溝内部だけでなく歯肉表層を含めた粘膜の免疫応答として考える必要があるとするのかどうかということも検討する。
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