全身疾患を伴わず歯周病を有さない健康な男性5名(うち喫煙者は3名)女性2名程度(うち喫煙者は1名)の協力を得、ガムの刺激により5分間全唾液を採取するとともに、唾液より好中球を分離採取した。その後唾液好中球の機能(遊走能、貧食能、殺菌能、F-actin形成能)、細胞膜表面の各種レセプターの発現状態(LFA-1、CR3、ICAM1、FCγ、MPO-7など)をモノクロナール抗体を使用し、間接蛍光抗体法にて処理、検索した。さらに、IL1やTNFαなどの細胞内サイトカインに関しても同様に検索した。また、細胞内酵素活性は各種のCell Probe(Coulter)を用い、細胞の活性化やアポトーシス、炎症などに関与する酵素活性を個々の細胞レベルで検索した。唾液中の生化学成分は検査キットを用い、乳酸脱水素酵素(LDH)、アルカリホスファターゼ(ALP)、アスパラギン酸トランスフェラーゼ(AST)、そして遊離ヘモグロビンなどを検査した。好中球の蛍光色素による染色態度および細胞の形態との関連は、共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。また計量細胞学的手技のFlow Cytometry(FCM)を用いて細胞集団の各抗体、試薬に対する陽性率を解析した。FCMはFACScan(BD、USA)で、解析ソフトはCell Questを使用した。また、唾液中のコチニン量は検査業者(株式会社BML)に発注して解析した。 本年度はこれらの歯周組織が健常な喫煙者、非喫煙者の各データを解析し、対照データとして定義した。
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