研究概要 |
本年度は、喫煙および喫煙経験が口腔内の歯周組織の状態および唾液中に混入する好中球や歯肉溝滲出液由来の炎症マーカーである生化学成分の量とどのように関係するかを検索した。方法としては、全身疾患を伴わない軽度から中等度歯周病患者82名(うち非喫煙者45名、現在喫煙者24名、過去の喫煙経験者13名)の協力を得、生活習慣の聴取および一般口腔検査を行った後、ガムの咀嚼刺激により5分間全唾液を採取するとともに、歯周病の臨床パラメータ(P1I,GI,PD,CAL,歯石の付着状況、BOP)を評価した。その後唾液好中球の機能(エラスターゼ活性)を検索するとともに、唾液中の生化学成分などの検査項目として、乳酸脱水素酵素(LDH)、アルカリホスファターゼ(ALP)、アスパラギン酸トランスフェラーゼ(AST)、遊離ヘモグロビン(f-Hb)、C反応性タンパク、総タンパク量、IgG抗体価などを検査した。 その結果、非喫煙者と喫煙者とを年齢層別に解析、比較すると、唾液中の炎症マーカーについての差はあまりないが、歯周組織破壊は有意に喫煙者で進行していることが示された。また、喫煙経験者でも歯周組織破壊の程度は非喫煙者と比較して高度であり、生化学検査値は喫煙経験者で高値を示す傾向にあった。
|