平成19年度の実験計画に基づき、糖尿病ラットを用いて実験的歯周炎モデルを作製し、歯肉マッサージ効果を検討するために動物実験と組織学的観察を行った。 実験の前段階として、Wister系ラット(オス、7週齢)にストレプトゾトシン(65mg/kg)を腹腔内投与し、2週間持続して血糖値が平均300mg/dl以上の高血糖状態になったものを糖尿病ラットとして使用した。平成18年度の結果に従い、ラットロ腔内の歯肉溝にマイクロピペットを用いて、細菌内毒素LPS(25μg/ml)を滴下して実験的歯周炎を惹起した。動物実験終了までLPSの滴下を継続した。 ブラッシングによる歯肉マッサージ効果については、実験部位をブラッシングしないコントロール群とブラッシングする実験群に区分し、さらに実験群を歯ブラシ圧100g(100g群)、200g(200g群)、250g(250g群)の3つの群を設けた。過去の研究を参考にしてブラッシング時間を20秒とし、ひずみ測定器でブラシ圧をモニターしながらブラッシング中は実験歯に一定の圧が加わるようにし、ブラッシング期間を4週間とした。実験期間中の口腔内所見については各群共に歯肉に強い炎症は見られなかったが、250g群の一部にブラッシング時の歯肉出血が観察された。 期間終了後に組織学的観察を行った。コントロール群では上皮の根尖側移動などが観察された。一方、3つの実験群については、ともに上皮の根尖側移動はほとんど観察されなかった。歯根膜の走行については明瞭であった。
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