研究課題
基盤研究(C)
糖尿病患者では、歯周病が悪化しやすいことが以前より明らかにされており、インシュリン感受性ホルモンの1つであるアディポネクチンの血清レベルが著明に低下しているという報告がされている。そこで、本研究は「アディポネクチンが歯周局所においても抗炎症的に作用している」という仮説のもとで、歯周炎の発症および進展における抗炎症作用機序の解明を目的とした。まず、マウス単球系細胞(RAW264)をToll-Iikereceptor(TLR)リガンドで刺激して、TLRシグナル伝達におけるアディポネクチンの役割について調べた。さらに、破骨細胞への高い分化能を有する細胞(RAW264-D)を用いて、歯周病細菌のLPSとRANKL刺激による破骨細胞分化能へのアディポネクチンの影響についても調べた。球状ドメインを含むアディポネクチン(gAd)を用い、RAW264を前処理後さらにTLRリガンドで刺激してNF-KB活性を測定すると、生理的範囲のgAdは、濃度依存的に同活性を有意に抑制した。また、gAdは、LPs誘導IKBのリン酸化、iNos遺伝子発現およびNo産生量を有意に抑制した。さらに、シクロヘキシミド前処理およびアディポネクチン受容体の1つであるAdipoR1抗体で前処理した場合には、LPs誘導NF-κB活性化とIKBのリン酸化におけるgAdの抑制効果は消去された。一方、gAdは、濃度依存的にLPSlRANKL刺激によるRAW264-Dから破骨細胞への分化を有意に抑制した。以上の結果から、アディポネクチンはAdipoR1を介して細胞内に未知の分子を誘導し、TLR経路を介する細胞内シグナル伝達を抑制して抗炎症因子として機能することが示唆された。また、LPS/RANKLが誘導する破骨細胞形成も抑制することから、歯周局所において歯周炎の発症および進展を抑制する可能性が考えられる。
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