研究課題/領域番号 |
17592189
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
安井 利一 明海大学, 歯学部, 教授 (20146252)
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研究分担者 |
清水 良昭 明海大学, 歯学部, 助教授 (90206219)
竹下 玲 明海大学, 歯学部, 助教授 (70236454)
松本 勝 明海大学, 歯学部, 助教授 (00209652)
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キーワード | メチルメルカプタン / 口腔粘膜上皮細胞 / ネクローシス / HMGB-1 / 歯周炎 |
研究概要 |
口臭原因物質は、メチルメルカプタンを中心とする硫化化合物である。幾つかの報告は、口臭症患者のメチルメルカプタン量と歯周疾患の病態に正の相関関係が存在することを示している。ごく最近、メチルメルカプタンは、幾つかの歯周病原性細菌が産生されることが明らかとなった。従って、メチルメルカプタンは、歯周病原性細菌由来の病原性因子として、本疾患の病態の成立・進行に密接に関係する可能性を考察した。歯肉溝の粘膜上皮細胞は、歯周病原細菌の侵襲から、生体を保護する「生態防御の最前線」に位置する。しかし、その破綻機構は不明である。メチルメルカプタンは細胞障害作用を有していることが示されているので、このターンオーバーを破綻させ、感染を成立させる可能性が考えられる。そこで、メチルメルカプタンは、上皮細胞をネクローシスに陥らせ、ターンオーバーを破綻させ、組織を破壊すると同時に感染を成立させる可能性を考え実験を行った結果、強いネクローシス誘導作用があることを確認した。また、歯周炎の病態である歯肉組織の炎症と骨吸収の成立には、骨吸収性炎症性サイトカイン(IL-1、TNF-α、並びに、IL-6)が、密接に関与している。そこで、ネクローシスを起した口腔上皮細胞の上清中に、炎症性サイトカインを誘導する物質が存在することを見出した。このことは、メチルメルカプタンが、上皮破壊だけでなく、炎症反応を誘導することを示唆するもので、意義あることと考えられる。実際、最近、ネクローシスに陥った細胞由来の様々な分泌物質が、炎症性サイトカインを誘導し、その中心的な物質としてHigh Mobility Group-1(HMGB-1)蛋白質が報告されている。そこで、ネクローシス細胞の培養上清を抗HMGB-1抗体を用い,除去したところ,サイトカイン誘導能が消去された。従って、メチルメルカプタン誘導性ネクローシス上皮細胞群から分泌されるHMGB-1は、歯周炎のサイトカイン誘導に密接に関与する可能性が示された。
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