研究課題/領域番号 |
17592194
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
良村 貞子 北海道大学, 医学部, 教授 (10182817)
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研究分担者 |
佐藤 洋子 北海道大学, 医学部, 教授 (90162502)
平塚 志保 北海道大学, 医学部, 准教授 (10238371)
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キーワード | 個人情報 / 保護 / 看護職者 / 法的責任 / 日本 / 米国 / 比較 |
研究概要 |
医療情報の電子化は、医療記録および看護記録を大きく変化させているが、電子記録は書面による記録と同様に公式な記録物として取り扱われる。日本では、病院等での入院期間の短縮化が図られている現在、医療依存度の高い在宅患者に対しては、各医療機関、かかりつけ医、市町村保健師、ケアマネジャー、および訪問看護ステーション等が地域連携パス等を活用し、治療やケア、相談や指導を行う際に密な情報交換や意見交換を行っている。この場合、問題となるのが個人情報の保護である。 看護職者は医師等と同様に、患者や家族の同意を得たうえで、個人情報を収集するが、関係機関・施設への連携の際にも、改めて患者や家族の同意を得て伝達する。これは、厚生労働省の医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドラインに示されている。 米国では、2004年に連邦政府が、相互利用可能な健康に関する記録を安全に入力し、保存し、送受信することができるよう、各医療施設や医師等が医療記録を紙媒体から電子媒体に移行する10年計画を示した。そこで、個人情報を修正し消滅させることのないよう、権限のない人々の偶発的または意図的アクセスから情報を保護する必要が生じた。例えば無資格の看護助手は医師の指示や検査結果へのアクセスはできず、看護記録を記述することもできないとする方針である。この場合、Health Insurance Portability and Accountability Act(HIPAA)に従うことが前提である 日本の医療機関及び施設は、米国と同様に、医療記録を電子化した場合であっても、個人情報保護法および厚生労働省の指針やガイドラインを参考に、内規を策定し、職員や各関係機関にその内容を公開すべき段階にある。もし、医療従事者の過失により患者等の個人情報がインターネット上に流出した場合には、刑法上の責任および損害賠償責任が問われることとなる。
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