本研究では、作成した提示映像の予備調査として、看護系大学4年次生54名を対象に中心静脈カテーテル挿入中の患者の点滴管理のヒヤリハット体験と学生の点滴管理に関する危険予測に焦点をあて、分析・検討を行った。その結果、1)4年次の臨地実習において、中心静脈カテーテル挿入中の患者の点滴を管理したことがある学生は48.1%であり、そのうち11.5%の学生が点滴を管理するうえでヒヤリハットを体験していた。2)環境的要因である外的要因のうち「ラインの状態」の危険性にのみ学生の意識が集中し、それ以外の項目について危険性を予測した学生は少数であった。4)点滴を安全に管理していくための看護計画を実施の計画、観察の計画、教育の計画について分類した結果、学生は観察の計画、教育の計画について挙げることが困難であった。 以上のことより、看護学生は患者側要因である内的要因、環境的要因である外的要因ともに危険性を予測するのが困難であるということが示唆された。これは、臨地実習において、受け持ち患者の点滴治療に関わる機会が少なく、点滴管理に関しては、病院スタッフの管理下にあるため、点滴管理に対する学生の意識が浅いために、点滴管理の安全に対する意識が全般的に低いことが考えられた。
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