研究概要 |
平成20年度は、インシデント発生が多いとされている点滴に関して、看護師の危険知覚の程度について経験年数との関連について検討した。調査は、500床以上の一般病院2施設の看護師を対象に郵送法による質問紙調査を行った。有効回答399件について、性別、年齢、勤務年数、最終学歴、点滴に関する研修の有無などの属性と、点滴の手順におけるインシデントの危険知覚の程度16項目(VAS)について分析した。その結果、対象の属性は、平均年齢 : 34.3±9.4歳、性別 : 男性19名、女性380名、勤務年数11.5±9.0年、点滴の研修 : 有228件、無166件であった。点滴手順におけるインシデントの可能の危険知覚が50%以上を占めた項目は「指示受け時の指示表の確認(5.3±3.6)」、「備品準備時の指示表の確認(5.0±2.7)」、「持続注入ポンプの操作(5.0±3.0)」、「点滴自動調節装置の操作(5,1±3.1)」、「滴下状態の確認(5.0±3.0)」であった。危険知覚の最も高かった「指示受け時の指示表の確認」において、「薬品の量(219件)」、「薬品の単位(139件)」、「薬品名(66件)」、「投薬時問(53件)」、「患者名(39件)」「投薬方法(37件)」の順で危険知覚が高かった。勤務年数と点滴手順において負の相関関係があったのは、「指示受け時の指示表の確認(P<.05)」、「滴下速度の調整(P<.001)」、「持続注入ポンプの操作(P<.001)」、「点滴自動調節装置の操作(P<.001)」、「滴下状態の確認(P<.01)」、「患者の状態(P<.01)」、「ルートの確認(P<.01)」であった。
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