研究課題/領域番号 |
17592199
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
須釜 淳子 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (00203307)
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研究分担者 |
真田 弘美 東京大学, 医学系研究科, 教授 (50143920)
中谷 壽男 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60198124)
北川 敦子 東京大学, 医学系研究科, 助手 (80343185)
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キーワード | 動物モデル / 褥瘡 / 病理組織 / ずれ |
研究概要 |
【目的】尾骨部褥瘡の発生要因として、ギャッチアップ時の頭尾方向のずれがあげられる。これまで、ギャッチアップにより引き起こされる褥瘡はポケットを形成し、治癒が遷延することなどが報告されている。しかし、ずれの負荷量を段階的に変えて組織学的に検討した報告はない。そのため、本研究ではラットを用いて一方向のずれの負荷量の違いが褥瘡の治癒過程に及ぼす影響について検討した。 【方法】対象:11〜13週齢のWister系雄ラット20匹。方法:側腹部に8kgで6時間圧迫のみ負荷した対照群と、同様の圧迫と一方向(尾側方向)のずれを0.5kg、1.0kg、1.5kgそれぞれの重りを用いて負荷した実験群の治癒過程を肉眼的・組織学的に比較した。組織学的観察として創作製後7日目に試料採取を行い、常法に従って処理し、HE染色を行った。なお、実験は金沢大学宝町地区動物実験委員会にて承認され、指針に基づき行った。 【結果】肉眼的所見:対照群では壊死が形成されず、実験群では壊死が形成された。1.5kg群のみ潰瘍が形成され、最も治癒が遷延した。組織学的所見:実験群ではずれの負荷量が大きい群ほど真皮下層における出血とうっ血、皮下組織・筋層での損傷が顕著であった。また、ずれの負荷量が大きい群ほど表皮に対して平行になっている膠原線維が多くみられた。 【考察・まとめ】実験群において肉眼的に観察された壊死や組織学的に観察された真皮の出血やうっ血は、圧迫に一方向のずれが加わることで血管が引き伸ばされ、血管内腔が狭窄・閉塞したことによる循環障害が考えられた。また、皮下組織・筋層での損傷が顕著であったことは膠原線維が表皮と平行になると同時に真皮層が薄くなることで、弾性が失われたためと考えられた。以上より、一方向のずれの負荷量が大きいと循環障害・膠原線維の走行の変化を著しくさせ、治癒を遷延させることが示唆された。
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