新人看護師の職場適応を促進するための介入プログラム(以下プログラムとする)を平成18年より実施し今年で2年目となる。平成19年に実施した研修の実施前後のストレス状況の変化より研修の効果を検討した。 プログラムは就職後6ケ月の新人看護師を対象に、ストレス状況やコーピングなどの知識を提供し、新人看護師自らが適切な自己評価や対応策を考えられることを目標とし、研修の一環として実施した。協力が得られた10病院に平成19年4月に就職した新人看護師を対象とした。調査はプログラム前(就職後3ケ月)と後(就職後6ケ月)に自記式質問紙(無記名)による郵送調査を実施した。調査内容は(1)ストレス認知(25項目)、(2)看護師用ストレス反応(27項目)、(3)新人看護師自己評価(14項目)、(4)看護師職場コミュニティ感覚(13項目)、(5)コーピング〔神村のTAC-24〕(24項目)および対象属性に関する項目である。分析はt検定を行った。倫理的手続きは、研修の主催者である看護部門責任者の承諾を得た後、対象者に文書にて、研修は全員参加であるが研修前後の調査への参加は自由であること等の説明を行い、質問紙の返送により研究参加への同意を得たものとした。本研究はA大学研究倫理審査委員会の承認を得た。 回収率は就職後3ケ月が335名中270名(76.1%)、就職後6ケ月が295名(88.1%)であった。3ケ月とプログラム後の6ケ月を比較すると、『ストレス認知』では下位尺度である「人間関係」、「業務量」の平均値が6ケ月で有意(p<.01)に増加していたが、『ストレス反応』は、「不安」「情動的混乱」が有意(p<.01)に減少していた。『自己評価』では「肯定的評価」が有意に増加し、『職場コミュニティ感覚』では、「職場志向性」が有意に増加していた(ともにp<.01)。『コーピング』は、「責任転嫁」(p<.01)が有意に増加していた。
|