新人看護師の職場適応を促進するために、ストレス反応モデルに基づく介入プログラムを考案し、2006年と2007年に実施した。本報は、プログラム実施前後のストレス状況の変化よりプログラムを評価した。 プログラムは就職後6ヶ月の新人看護師を対象に、ストレス反応、コーピング方略、ストレス緩和要因等の知識を提供し、彼らが対応策を思案できるように研修の一環として実施した。対象者は10病院に2006年と2007年の就職した新人看護師205名と335名であった。プログラムの評価は実施前の就職後3ヶ月(以下3ヶ月)、実施後の就職後6ヶ月(以下6ヶ月)と12ヶ月(以下12ヶ月)の計3回、無記名による質問紙調査した。内容は看護師用ストレス認知、看護師職場コミュニティ感覚、看護師用ストレス反応、新人看護師自己評価、コーピング(神村のTAC-24)、対象属性である。実施前後の平均値の差をt検定(5%有意水準)で分析した。 ストレス認知は、看護実践能力が2006年の3ヶ月より12ヶ月で減少(p<.05)したが2007年では減少がみられなかった。ストレス反応は、情動的反応が2006年と2007年に6ヶ月と12ヶ月で、認知・行動的反応で12ヶ月に減少(p<.01)を認めた。身体的反応は2006年のみ6ヶ月と12ヶ月で減少(p<.01)した。職場コミュニティ感覚は、職場志向性が2006年の6ヶ月で、良好なコミュニケーションが2007年の12ヶ月で上昇(p<.01)した。肯定的評価は、2006年の6ヶ月で減少(p<.01)したが2007年では6ヶ月と12ヶ月で上昇(p<.01)した。コーピングは回避が2006年のみに、情報収集、放棄、責任転嫁が2006年と2007年に増加(情報収集p<.05、他p<.01)、計画立案は2007年で増加(p<.01)し、いずれもパターンの増加を認めた。 プログラムへの参加は、自己のストレス状況を把握し、達成度や職場環境を客観的に見直す機会となり、ストレス状況への対応策を考えることにつながったと推察された。
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